工務店・ハウスメーカーと設計事務所の比較って無理!
「設計士が建主に合わせて設計した家」と
「○○シリーズのような工務店、ハウスメーカーの家」を
比較するのは無理があるというお話です。
すべての工務店やハウスメーカー、設計事務所が当てはまる話しではありま
せんが、いろいろな設計の仕方や家造りの進め方があります。
あくまで「建主に合わせて作った家」と「○○シリーズの家」の比較です。
○○シリーズの家は、ある程度見た目が同じ家を作っている
工務店、ハウスメーカーのことです。
設計事務所でも同じような家を設計しているところがありますねえ。
名前はついていないですが「○○設計事務所シリーズ」のような感じです。
○○シリーズの家は、プランニング集などから間取りを選んだり、ベースの
間取りに部屋を足したり、無くしたりしている程度のものが多いです。
外観を見ただけで○○ハウスの○○シリーズの家だねとわかる家だったり、
「どこかで見たことのある家だなあ」「あ、あのハウスメーカーで建てた家
かあ」と思う家のことです。(悪いという意味ではありません)
それに対して「建主好みの建主らしい家を設計している設計士」がいます。
人の家を自分の事務所の作品と呼ばない設計事務所です。
どちらかと言うと「建主の作品です」という設計事務所の話しです。
建主に合わせた「建主の作品」と呼べるような家は、大まかなイメージ、夢
や希望を元にもっと良い雰囲気に、もっと使い易く、もっとバランス良くを
かみ砕いて、具体的に家にしています。夢や希望が実現するように設計を進
め、家にしてくれます。
この二つは「建主らしい家」と「○○みたいな家」の違いです。
(○○ハウスらしい家、○○工務店ぽい家、○○設計事務所みたいな家との
違いとなります。)
この二つの比較ですが、比較しようとしても違い過ぎて比較しようがありま
せん。「どちらも家じゃん!」と思われるでしょうが、スタートが全然違う
ので別物なんです。
○○シリーズの家は、ハウスメーカーや工務店が独自に作り出したイメージ
や設計事務所のスタイルが先行されている家です。
車を選ぶとかカメラを選ぶとか服を選ぶというのは、
まず企業側が「こんなものを人は欲しがるだろう」ということで作って、
宣伝をして売り出します。
ショールームや量販店に行けば、乗ってみたり、手に取ったりすることが
できます。
「欲しい!」と思った人は買います。
多くの人はこの「見て、選んで、買う」ということを繰り返しています。
これは企業側からの「提案先行型」の買い物です。
これに対して「こんな物を作って欲しい」とオーダーして欲しい物を作って
もらう「夢や希望の実現型」の買い物があります。
この経験をもっている人は多くないですね。特に高額なものはないと思いま
す。
経験があるとすれば、お母さんにお気に入りの布を買ってもらって小学校用
の手下げ袋を作ってもらう程度でしょうか。
大人になってからは「材料から選んで作ってもらうもの」とするとスーツを
オーダーするとかワイシャツをオーダーするくらいですかね。
ウエディングドレスもありますがレンタルやできあがっているものを見て、
どれにしようかなと選ぶという人が多いかと思います。
花束を「オレンジ系でお願いします」とか頼むことはありますね。
「バラを入れて下さい」とか「カスミソウをいっぱい入れて下さい」とか多
少の注文は付けるということもありますね。
でも、なかなか「材料から選んで作る」という経験はないと思います。
高額になると本当にないと思います。
どちらが良いとか優れているということは言えないのですが、
「見た目が気に入った家を選ぶ」という決め方と
「自分に合わせて家を作り上げて行く」という方法の違いです。
で、
実は○○シリーズの家でも、職人さん達が材料を切ったり張ったりして手で
作り上げているんです。
これは、建主に合せた家の作り方も同じです。
お母さんの手提げ袋も一緒ですね。
「材料から作っている」という認識をしていない人が多いというだけではな
いかと思います。
「作る」という部分ではどちらも一緒なんですけどね・・・。
問題はここからです。
○○シリーズは同じような家になるわけです。
○○シリーズにして同じ家を作ると工事会社は「楽」が出来ます。
同じ家を作れば良いわけですから手間が掛かりません。
作るのに考えたり、悩んだりする必要がなくなり時間短縮になるんです。
なのでハウスメーカーの住宅は完成までにあまり時間が掛からないんですね。
材料が違うと、今まで取引のないところの連絡先を探して、購入金額を聞い
て、安く手に入れるために複数の業者に聞いたり、搬入方法ややったことの
ない取り付け方法を勉強して、材料が入れば色々悩みながらその材料を取り
付けなければならないので手間が掛かります。ようは面倒なんです。なので
お金が高くなります。
家を作る会社とすると建主から
「あっちはこうしたい」「こっちはああしたい」と言われると大変なんです。
間取りが変わると確認申請など図面の修正や構造計算のやり直しが伴います。
ここでも手間がかかりますね。
でも、材料を買って持ってきて、組み立てるのは人の手なので本来好き勝手
な形、好き勝手な材料を使って作ることが出来て当たり前なんです。
○○シリーズの家でもフルオーダーの家でも同じ作り方をしているので、で
きないことではないんですね。
ただ、量産体制が整っていて、考えずに流れ作業のように家を作れれば手間
が掛らないので工事がスムーズに進み、コストも抑えられるということです。
その分のお金を宣伝費に回されてしまうのはどうかとも思うんですけどね。
○○シリーズの家では上手に売り込みさえできれば買ってくれる人がいて、
作り方が同じなので手間が掛からず安く作れるということです。
そこで浮いたお金をCMやパンフレット、モデルハウス、ショールームに掛
けています。その膨大なお金は誰のお金だったんですかね。
綺麗なパンフレットを見て「どれにしようかな?」と選んでいる場合では、
ないように思うんですが・・・。
建主に合わせて、建主の希望の材料を使って、建主の使いやすさを追求した
設計にするという作業はそれからすると結構な手間が掛ります。
「自分に合っている家」が必要ない人には関係ない話しなのですが、
使い易かったり、住み易かったりする家を希望されるのであれば、材料から
選んで自分の住みやすい間取りや使い勝手を考えた家、自分好みの雰囲気の
家を作った方が良いことは解っていただけるのではないでしょうか。
例えば洗濯を夜にして、朝食準備の前に干して、出勤。
帰って来て部屋に取り込んでたたんで収納するという奥さんがいたとします。
この時のポイントは「どこに干すか」ということです。
野ざらしだと雨が降った時に濡れてしまいます。なので屋根が欲しくなりま
すね。それも家から濡れずに屋根付きの物干し場に行きたいとなります。
これを実現しようとするとリビングなど南側の部屋の前に屋根付きの物干し
スペースが必要ということになります。
ここで問題なのはリビングの南側の日が当たる一番良い場所に「物干し場」
を作らなければなりません。
「かまわない」と言われてしまえばそれまでなのですが、見栄えはあまり良
くないですよね。
いろいろな解決策があるのですが、建主の使い勝手から考えると、
2階に浴室、脱衣、洗濯機、トーメイな屋根付きの物干し場を設けるという
方法もあります。
夜に、2階の脱衣で脱いだ衣類がランドリーボックスに入っているわけです。
そのまま2階で洗濯物を洗濯して、朝起きたと同時に、2階の雨に濡れない
トーメイな屋根付きの物干し場に干して、1階のキッチンに行って朝食の準
備、そのまま身支度を整えて出勤。
帰って来たら、2階の屋根付き物干し場から雨で濡れなかった洗濯物を取り
込んでたたんで、2階の各部屋に収納。
奥さんが流れるようにスムーズ移動して作業ができます。
重い洗濯ものを2階の物干し場に上げるという作業も必要ありません。
ヨコ移動だけです。
しかも2階に屋根付きの物干し場があるので、先程問題になった「リビング
の前に洗濯物が干される」ということがなくなります。
何を希望されるかもあるのですが、自分に合せて家を作るというのは、自分
の行動に合せて家を作るということです。
自分の行動に合せて作った家が使い易くなるのは解りますよね。
因みにハウスメーカーなどで、2階に浴室、脱衣、洗濯機、トーメイな屋根
付き物干し場のようなプランはありますか。興味のある人は探してみて下さ
い。あっても数が少ないと思います。(浅いベランダで、雨が風で斜めにな
ると濡れてしまいます。濡れない物干し場ではありませんね。)
こうやって、自分の使い易さを追求して家を考え、設計して行くと、家に愛
着も湧きますし、満足度も違います。当然「住む」「生活する」ということ
に対しての気持ちも変わってきます。
ちょっと問題は、どこの会社でも建主のいろいろな行動パターンまで考えて
設計してくれるかということがあります。依頼先で変わってしまうのでご注
意下さい。
多少話が脱線していますが、まるで違う家を手に入れる方法を比べようとし
ても「比較したい」と考えることに無理があるという話に戻します。
「家を選んで手に入れる」と「家を自分に合わせて作る」の違いは、
「存在するもの」と「存在しないもの」を比較しようとしているということ
なんです。
存在しているものは見ることによってある程度理解できます。
でも、存在しないものは当たり前にわからないですよね。
不安に思われるのも当たり前だと思います。
目で見て、大体の自分の家を確認して、それから依頼するということが出来
ないのが「自分に合わせて家を作ってもらう」ということです。
「え、そんなの不安じゃん」と思われた人もいらっしゃいますよね。
でも、この世に自分と同じ人がいないように、土地や資金など同じ条件の人
がいないように、その人に合った家は一つしかありません。
その一つの家を作りたいと思ったら、人と同じ家を作ってもダメということ
なんですけどね。
つまり、○○シリーズで家を建てるということは自分に合った家ではないと
いうことです。
人間は順応性が高いのである程度の設備が整っていれば困ることはありませ
ん。「ちょっと不便だなあ」と思うだけです。もしくは自分に合った家の良
さを知らないだけ、気付かないだけです。
ちょっと悲しいですね。
気付いていなければ不幸ではないので「まあ、いっかあ」というところで
しょうか。
「見て選びたい」と考える人と「自分に合わせて作りたい」と考える人がい
るわけですが、見て選びたいといういう人は「比較したい」とか「どんな家
になるのか知りたい」と言います。
でも、無理なんです、自分に合わせて作るということは前例がないわけです。
建主に合わせて家を作っている設計士は、建主と打ち合わせを重ねて、建主
らしい家を模索しながら、一緒にどんな家にしたら良いのかを考えながら、
家の設計を進めていきます。
逆にいうとゼロから始めるので建主らしい家になるんですけどね。
型にはまらないで家の設計をしていくので建主らしい家になるということな
んですけどね。
最初はゼロで何もない状態からスタートするのが「建主に合った家の作り方」
となります。
何も無い状態と形のあるものを比較するのは無理がありますし、ナンセンス
ですよね~え。
「○○シリーズの家」と「建主に合わせた家」は
「比較して選ぶ」には違い過ぎるということを理解して頂けましたかね。
「自分に合わせた家」がどうしても解らないという人は下記をクリックして
下さい。自分に合せた、自分らしい家がどのように出来るのかを理解
していただけます。
また、もっと詳しく知りたいという人の為に、自分らしい家を作ることの不
安を解消するために、初回無料の住宅教室を開催しています。
「なんかハウスメーカーの家じゃ住み易いと思えないんだよね」とか
「工務店に頼んで本当に住み易い家の設計になるの?」と思っている人は、
参加してみてください。
生活の仕方から考えた家がどのように住み易いのか、自分の気に入った材料
をバランス良く効果的に使った家がどのような家なのかをお教えしています。
また、雑誌のこんな雰囲気の部屋が欲しいとかこんな外観の家にしたいんだ
よねというイメージを自分の生活の仕方に合わせた形で実現したいと考えら
れている人はご参加ください。
どのようにして設計を進め、建主が住み易いと思える家にしながら希望の雰
囲気の家にしていくのかをお話させて頂けます。
●これから家を建てる人へ
実は「○○シリーズの家」と言った時点でフルオーダーの家ではなくなりま
す。
材料を好き勝手に変えることができないですし、赤い外壁にしたいと言って
もシリーズにないものはでできませんとなります。
変えられないんですからフルオーダーではありませんね。
「自由設計」というのも間取りだけが自由になると言っている工務店・ハウ
スメーカーがあります。材料まで自由にならないことがありますので気を付
けて頂いた方がよいですね。
大体の材料が決まっていたり、大体の雰囲気が決まっている家は、セミオー
ダーです。○○シリーズにない材料や間取りを希望するとお高くなることが
多々あります。
それ以前に「自分に合った家にしたい」とお考えであれば、全てをゼロから
検討して決めていく必要があるんですけどね・・・。間取りも。材料も。
◇道先案内人(みちさき あんないと)のお勧めは、
アパートの部屋数が増えただけの家、アパートの部屋が大きくなっただけの
家は作らないということです。
住むことは出来ますが、使い難かったり、居心地が悪かったり、気持ちが休
まらなかったりする家を長期ローンまで組んで建てるのはどうかと思います。
誰もそんな家を望んではいないと思います。そうならないようにハウスメー
カーのモデルルームを見学に行ったり、雑誌を見たり、インターネットで調
べたり、親戚や友達に聞いたりされていると思います。
で、
ポイントは、自分が10年後、20年後に「この家に住めて良かったな」と
思える家を作るということです。ここを外さなければ「失敗した」と思う事
はないと思います。
そんな家を手に入れる一番の方法がいろいろと選んで決めるということであ
れば、それはそれでも良いかと思います。(結果は?ですが。)
自分に合せてゼロから考えて使い易いように住み易いように考えて作るとい
うことであればそれはそれで後悔しない家になると思います。
解っているようでいて「忘れてしまうポイント」です。気を付けて下さい。
ソーラーだのシステムキッチンだの設備や住宅の断熱性能や耐震性能ばかり
に目を向けてしまう人が結構います。
大事なことではあるんですが、それが最優先になるのは間違いではないかと
私は思います。
|